はじめに
「また辞められてしまった」。そんな経験はありませんか。
育児休業から復帰した直後、あるいは子育て期に入った従業員が、数年で辞めていく。経営者や人事担当者にとって、これは決して他人事ではない課題です。
厚生労働省のデータによれば、女性の育児休業取得率は2025年時点で87%前後に達しています。一方で、企業が直面する現実はより複雑です。制度の整備だけでは解決しない「現場の壁」があるからです。
そして、この課題に対応しない企業に、2025年、法的義務が迫っています。
改正育児・介護休業法が2025年4月から一部施行、2025年10月からは「選択的措置」が義務化されました。3歳から小学校入学前までの子を持つ従業員に対し、企業側から複数の柔軟な働き方を提示することが求められるのです。
本記事では、国内企業の導入事例、海外の動向、そして定量的な効果データをもとに、ベビーシッターを福利厚生として導入することで、企業がどのような課題を解決できるのかを整理します。
目次
- データで見る、企業が直面している課題
- 海外の動向: 企業が従業員の育児を支えるのが当たり前になりつつある
- 導入効果の実例:離職率は29.5%から5.4%へ
- 導入が求められる3つの理由
- ベビーシッター福利厚生の特徴
- 導入のポイント
- 導入後の運用
- おすすめの導入ステップ
- 自社サービスのご紹介
- まとめ
データで見る、企業が直面している課題
企業内保育所の現実:98.4%の企業が導入していない
「企業内保育所を設置している企業は1.6%強」。
これは、東京商工リサーチが2019年に行った9,081社へのアンケート結果です。98.4%の企業が、社内託児施設を持ち合わせていないのが現実です。
企業内保育所の設置には、土地の確保、建設費用、常設スタッフの雇用、維持管理コストなど、多額の初期投資と継続費用がかかります。特に中小企業にとって、このハードルは高いと言わざるを得ません。
一方で、子育て従業員が直面している課題は、保育園の送迎後から保護者の帰宅までの時間、病児保育、早朝・夜間の対応、保育園の休園日など、多岐にわたります。
仕事と介護の両立に関する経済損失:約9兆円
経済産業省が2024年3月に公表した「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」では、仕事と介護の両立に関連する経済損失が約9兆円に上ると試算されています。
2030年時点で、「ビジネスケアラー」(仕事をしながら介護に従事する人)は約318万人に達すると推計されています。この数字は、子育てと仕事の両立支援においても、同様の構造が存在することを示唆しています。
「介護が始まってから1年未満で離職する割合は70.2%」。厚生労働省のデータが示すこの数字は、両立支援が遅れた結果、企業が有能な人材を失うリスクが高いことを表しています。
離職に至る理由:「勤務先の問題」が43.4%
厚生労働省の調査によれば、「手助け・介護」のために仕事を辞めた理由のうち、43.4%が「勤務先の問題」を理由として挙げています。
これは、企業側の制度・対応次第で、離職を防げた可能性が高いことを示しています。福利厚生としての両立支援は、単なる厚意ではなく、経営課題への対応策なのです。

海外の動向: 企業が従業員の育児を支えるのが当たり前になりつつある
米国企業の56%が育児支援手当を優先
アメリカにおける調査では、2024年時点で56%の雇用主が、人材の確保・定着のために育児支援手当を優先課題として認識しています。この数字は、前年から10ポイント上昇しています。
2,000人以上の規模を持つ企業では、77%が何らかの形で企業主導型育児支援クレジットを提供しており、最も一般的な支給額は月額約500ドル(約7〜8万円)です。
米国の市場規模:326億ドルから584億ドルへ
米国の住み込みベビーシッターサービス市場規模は、2025年に326億ドル、2034年には584億ドルへと成長すると予測されています。
ベビーシッターサービス市場も、2025年の25億ドルから2035年には38億ドルへと拡大する見込みです。
これらの数字は、企業主導型の育児支援が世界的に拡大基調にあることを示しています。日本企業においても、同様のニーズが存在し、対応が求められていると言えます。
導入効果の実例:離職率は29.5%から5.4%へ
中小企業の事例:就職後3年以内の離職率が大幅改善
中小企業庁が公表したある企業の事例では、ワークライフバランス施策を導入した結果、就職後3年以内の離職率が2018年の29.5%から2022年には5.4%にまで低下しました。
この企業では、定着率の改善によって計画的な人材育成が可能になり、「社員のスキル向上→生産性向上」という好循環が生まれています。
同庁のデータは、ワークライフバランス施策の適切な導入により、以下の効果が確認できるとしています。
- 生産性向上
- 企業イメージアップ
- 離職率の低下
- 採用における有利性
- 子育て世代やシルバー世代の採用に有効
職場意識の変化:23.3%が「協力する雰囲気ができた」
厚生労働省の両立支援に関する調査では、制度導入後の職場意識に以下の変化が見られています。
- 制度利用に対して職場で協力する雰囲気ができた:23.3%
- 職場に多様性を受容する意識が浸透した:20.3%
これは、両立支援制度が単に個々の従業員を支援するだけでなく、組織全体の意識変容をもたらす効果があることを示しています。
男性の育児休業取得率:77.3%に達した企業
コニカミノルタ株式会社の事例では、2024年度に男性従業員の育児休業取得率が77.3%に達しました。
同社では、従業員と上司向けの意識啓発活動、育児休業ガイドブックの作成など、組織的な取り組みを行っています。
この事例は、企業側が積極的に制度活用を促す環境を整えることで、男性の育児休業取得率を飛躍的に高められる可能性を示しています。
政府目標では、2025年度に50%、2030年度に85%とされており、企業側の対応が求められています。

導入が求められる3つの理由

理由1:法的対応と企業リスクの回避
2025年10月からは、改正育児・介護休業法により、「選択的措置」が義務化されました。
3歳から小学校入学前までの子を持つ従業員に対し、企業側から複数の柔軟な働き方(時短勤務、フレックスタイム、テレワーク等)を提示することが必要です。
この対応を行わない場合、企業は労働局による是正指導の対象となる可能性があります。法的義務を満たすためにも、複数の選択肢の一つとして、ベビーシッター福利厚生を提示しておくことは有効です。
また、育休明けの従業員が「復職したくても、現場の事情が整っていない」という理由で退職に至る事例は少なくありません。このような場合、企業側が十分な両立支援策を講じていなかったと判断されれば、法的なリスクも懸念されます。
理由2:人材確保とコスト削減
採用コストと教育コストを考えると、優秀な人材の離職は企業にとって大きな損失です。
ある試算では、従業員1人が離職し、後任を採用・育成するコストは、その従業員の年収の1.5〜2倍に上るとされています。
中小企業庁の事例で示された「29.5%→5.4%」という離職率の改善は、直接的なコスト削減に寄与します。さらに、定着率が向上することで、企業は計画的な人材育成が可能になり、組織力の強化につながります。
また、帝国データバンクの調査(2025年)では、子育て・介護支援サブスディを法定以上に行っている企業は11.1%にとどまっています。この数字は、福利厚生としての子育て支援が、まだ差別化要数になり得ることを示しています。
理由3:企業イメージと採用力の向上
「子育てをしながらも働きやすい企業」というイメージは、採用力の強化に直結します。
厚生労働省の「両立支援に積極的な企業は、働きやすいホワイト企業として認知され、企業イメージが向上する。結果として、採用活動において有利になる」としています。
特に、若手社員からは「自分が将来子育てをした時、この会社なら続けられるかどうか」という視点で企業を評価する動きが見られます。
現に、経済産業省のガイドラインでは、「両立支援に取り組む企業」は、採用における有利性、企業イメージの向上、顧客・取引先からの評価向上などの効果が確認できるとしています。
ベビーシッター福利厚生の特徴
※以下の内容は、この記事執筆時点における当社の法人向けベビーシッター福利厚生サービスの特徴です。最新のサービス内容についてはこちらをご確認ください。
当社の法人向けベビーシッター福利厚生を導入することは、企業内保育所を設置するのとは異なるメリットがあります。
保育士資格保有の質
当社の法人向けベビーシッター福利厚生の最大の特徴は、保育士資格を保有するスタッフが配置される点です。
一般のベビーシッターサービスでは、資格不問・経験年数不問でスタッフを採用する場合も少なくありません。一方、当社の法人向けベビーシッター福利厚生では、現場経験5年以上の保育士のみを配置するなど、質の担保が行われています。
これは、企業として「安心して任せられる育児支援」を提供する上で、重要な要素です。
柔軟な利用シーン
当社のベビーシッター福利厚生は、以下のような多様なシーンで利用できます。
- 育児休業からの復職直後
- 保育園の送迎後から保護者の帰宅まで
- 残業や出張
- 保育園の休園
- 病児・病後児保育
- 早朝・夜間勤務
- 土日祝日の勤務
- 社内研修やイベントへの参加
企業内保育所では対応しにくい「病児保育」「早朝・夜間」「土日祝日」などのニーズにも、柔軟に対応可能です。
法人契約のメリット
個人契約と比較して、法人契約には以下のようなメリットがあります。
- 法人契約料が月額固定で予算管理がしやすい
- 従業員の自己負担を軽減できる(基本料金割引適用後の自己負担)
- 利用状況を月次レポートで把握できる
- 複数の従業員が利用できる
企業からすれば、「制度導入の有無」ではなく、「実際に従業員が使えているか」が重要です。法人契約の月次レポートは、制度の活用度を把握・改善する上で有効なツールです。
導入のポイント
対象者の明確化
まず、どの従業員を対象とするかを明確にします。
- 全従業員を対象とする
- 子育て中の従業員のみを対象とする
- 特定の部署や職種を対象とする
対象を広げることで、より多くの従業員にメリットがありますが、一方で、予算管理との兼ね合いも必要です。
利用シーンの想定
自社の従業員がどのようなシーンでベビーシッターを必要とするか、想定しておくことが重要です。
- 残業が多い部署
- 出張が多い職種
- 早朝・夜間勤務がある社員
- 育休明けの復職者
これらを想定することで、より実態に即した制度設計が可能になります。
費用負担の設計
企業側がどの程度負担するか、設計する必要があります。
- 法人契約料は企業負担
- 利用時の従業員負担は基本料金割引適用後の金額
- 月間利用上限時間の設定
プランによっては、従業員の負担を大幅に軽減することも可能です。これは、従業員にとって「使いやすい制度」であることを意味します。
社内説明の重要性
制度を導入しても、従業員が知らなければ使うことはできません。
- 導入目的の説明
- 対象者の明示
- 利用手続きの案内
- Q&Aの作成
特に、育休明けの復職者や、残業・出張が多い社員に対し、個別に案内を行うことで、制度利用率の向上が期待できます。
導入後の運用
月次レポートの活用
法人サービスでは、月次レポートが提供されるのが一般的です。
- 利用者数
- 利用時間数
- 利用シーン
- 利用者満足度
- 相談・問い合わせ内容
これらのデータを把握することで、制度の改善点や、追加で対応すべきニーズが見えてきます。
利用状況の把握
「制度はあっても使われていない」状態を防ぐには、定期的な状況把握が必要です。
- 制度認知度の調査
- 利用状況のヒアリング
- 非利用者への理由確認
これらを通じて、制度の使いやすさや、認知の課題を改善することができます。
制度の見直し
導入後、定期的に制度の見直しを行うことをお勧めします。
- 利用状況に基づくプラン調整
- 対象者の範囲見直し
- 新たな利用シーンの追加
制度は一度導入して終わりではなく、組織の状況に合わせて継続的に改善していくものです。
おすすめの導入ステップ

STEP1:現状把握と目標設定
まず、自社の現状を把握します。
- 子育て中の従業員数
- 過去数年の離職者数と理由
- 現行の両立支援制度
その上で、制度導入の目標を設定します。
- 離職率を何%改善するか
- 従業員満足度をどう向上させるか
- 採用力をどう強化するか
STEP2:制度設計とパートナー選定
制度の詳細を設計し、サービス提供パートナーを選定します。
- 対象者と利用シーン
- 費用負担の設計
- プランの選定
- パートナー比較(質、実績、対応エリア)
複数のサービス提供者を比較し、自社のニーズに最適なパートナーを選定することが重要です。
STEP3:試行導入と評価
可能であれば、試行導入を行い、評価することをお勧めします。
- 3〜6ヶ月の試行導入
- 利用者からのフィードバック収集
- 課題の抽出と改善
これにより、本導入前に制度の使いやすさを確認できます。
STEP4:本導入と社内周知
本導入後、全社的に周知を行います。
- 全社説明会の実施
- 社内ポータルへの掲載
- 対象者への個別案内
- 利用手続きの簡素化
制度認知度を高めることで、利用率の向上が期待できます。
自社サービスのご紹介
株式会社おんぶにだっこ(ベビーシッターDAKKO)では、保育士資格保有のスタッフによるベビーシッター・訪問保育を、企業の福利厚生として導入いただいております。
保育士資格保有スタッフ
当社では、保育士資格を保有し、現場経験5年以上のスタッフのみを配置しております。プロによる安全で質の高い保育をご提供いただけます。
多様な利用シーン
育休明けの復職直後、残業、出張、病児保育、早朝・夜間、土日祝日など、多様なシーンで利用いただけます。企業内保育所では対応しにくいニーズにも柔軟に対応いたします。
対応プラン
対象従業員1名から月額制で導入可能であり、企業の規模やニーズに合わせたプランをご用意しております。従業員の自己負担を大幅に軽減することも可能です。
まとめ
ベビーシッターを福利厚生として導入することは、企業が直面する「子育て世代の離職」という課題に対して、有効な解決策の一つです。
国内外のデータが示すように、子育て支援を福利厚生として導入することは、離職率の改善、人材確保、企業イメージの向上など、複数の効果をもたらします。
2025年の法改正対応としてだけでなく、中長期的な企業価値向上のための投資として、検討されてみてはいかがでしょうか。
「自社の子育て支援制度を見直したい」「導入効果について相談したい」とお考えの経営者様、担当者様は、ぜひお問い合わせフォームよりご連絡ください。貴社の状況に合わせた制度設計をご相談いたします。
